パッケージの形を取って頒布する場合、転売からは逃れられません。
転売自体は合法だからです。

同人活動とクロール型転売はつきものです…。
大手じゃなくても転売屋さんによる登録はされます。
「このジャンルで活動している同人作家」と転売屋さんに認識されれば、ターゲットになるからです。
大手委託ショップに登録するとそのターゲットになりやすいですが、委託しなくても、たとえば「即売会で机の端から端まで全部1個ずつ買って、気に入らなかったものは即ヤフオク」みたいな人も中にはいるので、完全に逃げきれる方法というのは基本的にありません…。

しかしながら、できるかぎり逃れる方法はないか、方法を検討してみました。
その方法とデメリットを挙げます。
どちらかというと「こんなものを思いついたが、あまりいい方法ではない気がする」というような提案というか問題提起です。

【1】パトロンサービス

「物体頒布を諦める」ことは、転売から逃れる手法のひとつです。
たとえば「パトロンサービス(Ci-en、Fantia、pixiv fanbox)で月額有料支援者のみに自分の絵を見せる」というスタイルに移行することで、大がかりなクローラー型転売と縁を切ることができます。

ただし新規ファンはつきにくくなりますし、お金を払わないファンを門前払いにしてしまいます。
ファンや対象物とはお金ありきの付き合い方になる
ので、二次創作の方には基本的に志す活動方針が違うと思います。

また、パトロンサービスは手数料を取ります。
なので、「同人誌委託ショップがパトロンサービスも経営している会社」「その経営会社がクローラー型転売を阻止しない」という条件が整った場合…
「委託ショップは転売屋に買われても儲かる。転売を嫌うサークルが委託ショップと同系列のパトロンサービスに移行してくれても、ファンが払う支援金の手数料で儲かる」
というマッチポンプ式図式
がより強化されます。

「サークルにとってネガティブな選択肢を取るのに、経営会社は助けてもくれないから同会社の別の有料サービスに移らざるを得なかった」という構造はとても良くないと思います。

しかしながら閲覧者を減らすことはできるので、クローリング型転売やクローリング型転載からは逃れられます。

※しかしもちろん、悪意ある転売や転載からは逃れられません。悪意ある人は自分の意志でついてきます。

【2】 利用規約で転売を禁じ、転売禁止を承諾した相手と「契約」して商品を渡すという方式

著作権法で転売を禁じることができないので、それなら民事契約として「転売禁止」を事前に伝え、それを承諾した相手にのみ商品を渡すという方法。
これなら「転売禁止」に法的拘束力が発生すると思います。

契約の取り方は
●通販の利用規約にその旨を盛り込み、OKボタンを押させる
●通販利用時に「私は転売禁止を承諾しました」と書かせる
●「このパッケージを開封したら、転売禁止を承諾したものとみなします」
などいくつか方法があります。

しかし…この承諾が破られて転売された時に、本当に法的拘束力を利用して相手に賠償をさせるのはまた大変なことです。
それをするには訴訟が必要ですから、相手の住所氏名を知っていなければなりません。
ということは、
(1)自分が売る全同人誌にロットナンバーを振る必要がある
(2)どのNo.の同人誌を、誰に売ったのか、売った相手の個人情報をずっと控えておく必要がある
(3)転売された時には、転売商品のロットナンバーを確認する必要がある(普通そのロットナンバーを公開しないと思うので購入が必要になる) →特定できたら訴訟

こういった流れが必要になると思います。

正直なところ、「サークル側はこれが完遂するか分からないストレスに悩まされるけど、転売屋さんの方はたぶんあまりダメージも受けない」結果になると思うんですよ、これ…。

「転売をやられた時に取れる法的手段」は入手できるけど、確実かどうかは分からない。
「転売屋さんは利用規約があったら恐れて手を出さない」ということもないのでは、と思います。抑止力になるか微妙。

入手の敷居が高くなってファンが気軽に買えなくなりファン離れに繋がる、という結果だけが残ってしまう気がします。

抑止力としての効果が高くないなら、その手段は良くないと思います。

【3】Booth通販の通販機能だけを利用する

Boothは原則的に登録内容が公開され、Boothのトップから検索できてしまいます。
それゆえクローラー型転売サイトにクロールされます。

シークレット機能(有料 月550円)がありますが…
それを使わずにBoothで商品登録をしてクローラー型転売にクロール登録されない方法はないか考えてみました。

■商品内容の詳細を書かずに商品登録をし、必要に応じて開け閉めするというのはどうでしょう

Boothは重量型送料計算とかしてくれないので、送料調整のために「送料調整」って商品を作ったりしますよね皆さん。
そこから思いつきました。
それなら商品詳細を書かない商品登録をしても、通販のやりとりは完遂できる気がします。
商品内容は客とサークルの両者が分かっていればいいのです。


ただ、たとえば「私の本A ¥500」とか商品を作ったとしても、やはりそれは公開されます。
Boothで商品登録をする以上、全公開されないという方法はシークレット機能(有料 月550円)のみに限られています。
なので「私の本A ¥500」と作ったら、内容が全然なくてもそのページごとクローラー型転売サイトにはクロールされてしまうと思います。
商品ページの公開非公開を必要に応じて行うことで、クロールリスクを下げましょう。

■もちろん確実な方法ではない

上記提案はあくまで「見つかりにくくする」程度のものです。
確実に転売サイトのクロールを回避できるわけでは全然ありません。
悪意ある人は見つけて食いついてきます。

また、Boothを自動クロールするんじゃない肉入り転売屋(あなたのサイトやtwitterをちゃんと追ってきていてBooth外の場所で商品内容が把握できている転売屋)が通販を申し込んで来たなら、それは回避できません。
Boothで通販申し込みされたら客の見分けはつきませんので、本当に回避不能です。
これがBoothを使うデメリットです。

■そういう使い方、規約に反するのでは? →反しないので可能だと思うけど…

pixiv利用規約 booth
https://policies.pixiv.net/#booth
第4条 5
ユーザーは、本個別サービスと関連して、また本個別サービスの機能を利用して、本個別サービス内に掲載されている商品の内容と、直接関係のない商品のやり取りを行うことはできません。
つまりBoothを利用して、外部サイトで直接関係のある商品のやり取りをしてもいいということですよね。

第7条 禁止行為
1-2 ショップオーナーが創作に関与していない商品を登録・販売する行為
1-3 本個別サービスを介さずに行う直接取引それを勧誘する行為、または、勧誘に応じる行為
1-4 本個別サービスでの商品掲載において、掲載内容と明らかに異なる商品を送付する行為
ショップオーナーが創作に関与していて、
Boothを介して取引を行い、
Booth掲載内容と明らかに異なるわけではない商品を送付するなら…
ありですよね。

■と解釈できるんですが、Booth的にはありがたい使い方ではないと思う

ここまで提案してきましたが…
これはBooth的には「Boothを利用した内容不明品の通販」となると思うので、BANされてもおかしくないかもなと思います。

ただBoothで「福袋」とかやってる人もいて、中には詳細が不明の人もいるので、必ずしも即BANというわけでもないとは思うんですが。

■発送事故時、補償対象外となると思う

それと「Boothを利用した内容不明品の通販」は、発送事故が起きた時に補償が受けられないと思います。
不着であれば額の返金は受けられるかもしれませんが…
破損時に「Boothに登録した内容」と一致しないことが問題になると思います。
また、発送した内容がそれぞれ違う複数荷で伝票の貼り間違いなどをした場合に、判別不可能になり、サポート外となると思います。


■そこまで頑張っても、売上プール期間は半年、振込手数料あり

売上はいつ受け取ることができますか?
https://booth.pixiv.help/hc/ja/articles/230690667


振込手数料はどのようにして決まりますか?
https://booth.pixiv.help/hc/ja/articles/231284808


■統括

いろいろ考えをこねくりまわしましたが、やっぱりBANの危険性あるのでおすすめできないです。
Booth利用の上で健全な使い方ではないんですよね。

Boothとしてはシークレット機能(有料 月550円)を使え、と言うと思います。

やるなら、BANされるリスクのある問題をクリアする必要があります。

【4】 じゃあ自主通販

自主通販なら委託ショップやBoothを狙い撃ちにしたクローラーからは逃れられますが…
自主通販でも転売屋は普通に申し込んでくるということはお忘れなく…!

ただ、自主通販のメリットとして、客の情報が分かるので、客の住所氏名などで転売屋がまるわかりであれば「そのメールは届かなかった」と廃棄することは実質可能です。

【5】 パッケージ商品を頒布する形式をやめて、無料展示主義でいく

これが転売に悩まされない最後の回答です。
この場合、戦うべき相手は「無断転載が大好きな人」のみに絞られます。

無料で、しかも見せる相手をできるだけ絞っておくと、平穏が得られます。
Googleなどの検索を拒否してくれる会員制SNSで、同じジャンルの仲間に見せるようなやり方がいいです。
ただし、もちろんそういうクローズなSNSにも転載厨がやってくることはあります。
クローズなSNSだったら絶対安全!ということはありません。

また逆に、自分がクローズなSNSで発表した内容を、別のクローズなSNSで無断転載されることももちろんあります。

検索できないので、気づかない場所で行われることになります。
これは元が公開作品や同人誌であっても同じことなのですが、要するに「どうすれば絶対大丈夫」はないんですよ…。

【6】 スクショ禁止ができるサイトでのみ展示

スクショ禁止は脱する方法がたくさんあるので無意味です。
画面上に完全体として画像を表示できる以上、何らかの方法でその画像を見ているとおりに保存する方法は常になにかしらあります。

【7】 転載はされるものだと割り切って、オープンなインターネットでは「フリー素材」あるいは「転載されてもいい画像」を作り、メイン活動はクローズなSNSで行う

twitterやpixivではフリー素材と割り切れる画像を投稿。
あるいは宣伝文入りの画像のみ投稿。
「これは宣伝」と割り切ります。
イラストをクロール型AIに学習利用されたくないなら、顔にも体にも容赦なく文字を入れるのがいいかもしれません。
これで新規ファンの入り口を完全に閉じずに確保します。

その上で、メインの活動はクローズなSNSに移してしまう。
もちろん悪意の人がメイン活動のクローズなSNSに入ってくることはあると思います、それは今までも何度も言ったとおりです。

このあたりが「なんとかインターネットの自由な悪意と距離を置きつつ、ネットを介しての同人活動をやめない」折衷案ではないかと思います。

以上

あまりいい提案ができず、しかもネガティブなポイントを挙げていって諦めさせるような日記で申し訳ないです。

諦めたくない活動内容が各自あると思います。
その活動と、自分がいまできる戦い方を選んでいって、作品の公開をどうか諦めないでほしいなと思います。